QUAD ESL-57 研究 その参
回路図ですが、著作権の問題があり、勝手に転載するのは憚られるので、必要な部分ごとに手書きのものを貼り付けます。 全体をまとめて見たい方は、申し訳ないのですが、QUAD ESL-57 SERVICE DATA とか SERVICE MANUAL で検索してみてください。 これ以外にも、色々な検索方法があると思います。

まず高圧の回路ですが、コッククロフト・ウォルトン回路で、63系と同じ構成ですので、ここに掲げるまでもないと思います。 定格は、低圧が1.5kV、高圧が6kV となっています。 これが、それぞれ、790Vと2320Vですので、半分ほどしか出ていないということです。
この、二種類の高圧を使うという方法、またしてもSTAXを思い出してしまいます。 63 からは高圧は一種類ですので、QUAD としては考え方を変更したということなのでしょう。 理論的に考証した訳ではないので無責任に私の勝手な印象を書きますと、高圧が下がると、良く言えば柔らかい音、悪く言うと張りが無く弱い音、ダイナミックレンジも狭いような音になり、当然、能率も下がります。 その逆で、上げると張りのある強い音で、ダイナミックレンジも広くなる感じの音になります。
周波数帯を何分割するのか、それぞれのユニットの面積・形状・配置をどうするのか、それぞれに供給する電圧はどうするのか、等々、非常に難しい問題なんだろうと思います。

回路図に戻り、次はユニット関係です。

TREBLE UNIT ・・・ 高圧は1.5kV供給
 ユニットは一枚ですが、帯域は二分割、電極(フィルム)は三分割されています。
 その高い方の帯域です。

 

低い方の帯域です。


プッシュ・プル型の振動膜駆動ですので、前後の信号電極には、逆位相の同じ信号が入力されているものと思っていました。 ところが、図のとおり、そうではありませんでした。 要するにハイパス・フィルターが入っているのですが、フロントに入っていたりリアだったりと、非常に面白い設計です。 なお、この回路のインピーダンスが判らないので、カットオフ周波数は判りません。

BASS UNIT ・・・ 高圧は6kV供給


BASS UNIT の方は、正しい(?)プッシュ・プルとなっています。 

便宜上、三つの帯域で図を分けましたが、上の図で C1 という巻線は各帯域で共用しています。 信号トランスは一つで、巻線は三つあります。 C1部分は全てのユニットに使用されており、C2  C3 はBASS UNITのみに使用されています。

回路図からは、高域ユニットへの入力がプッシュ・プルではないこと以外には、特殊な感じはありません。 とは言うものの、ネットワークというか、帯域を分ける回路は各社ごとに特色があり、また、モデルごとに変遷があり、非常に興味深いところです。

次回は高圧回路の部品交換と、その後の様子です。

              づづく・・・
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